妊娠中、子育て中のママたちにゆったりした時間を楽しんでもらう。そのためには、どの席に座っても遊んでいる子どもの姿が見えなければならない。テーブルは一つも使わず、すべて座卓にした。椅子の脚は座り方によっては浮き上がることがある。その下に子どもが手や足を差し込んだりすれば、悪くすれば骨折事故が起きるからだ。6卓用意し、客数に応じて出す。
授乳・おむつ交換のスペースを設けた。客用のスペースにすれば営業効率は上がるが、子育て中のママにはなくてはならない空間である。
壁はほとんど漆喰で塗った。漆喰は呼吸する壁、ともいわれる。湿度調整機能があり、揮発性の有機化合物を吸収、分解する。シックハウス症候群を起こしかねないビニールクロスの壁紙はトイレなど一部を除いては使わない。大切な子供たちが集まる場所である。健康によい室内を目指したのである。
床はクッションフロアにし、段差を出来るだけなくした。遊び回る子供たちの怪我を避けるためだ。
食材は県産を中心にし、地産地消を心がけた。アレルギーを引き起こす恐れのある原材料を使っている食べ物には、メニューにアレルギー表示をした。
夜の宴会も受け付ける。
「子どもと一緒に飲み会を開きたいというパパたちも結構いらっしゃるんですよ」
子どもたちがはしゃぎ回る横で、あるいは可愛い子どもを膝に抱きながら、パパたち、ママたちがお酒を酌み交わす。
計画通り、客の平均滞在時間は3〜4時間。中には5時間以上も楽しんでいく親子連れすらいる。ママ2人以上が連れ立って来るグループ客がおおむね8割に上り、毎週のように訪れるおなじみさんも増えた。遠く埼玉や栃木、県内でも高崎や前橋からわざわざ車で来る人もいる。常識の真逆を行く経営は、妊娠中、子育て中のママたちに幅広く歓迎されている。
「営業日の6割ぐらいは満席なんです。せっかく来ていただいても入店をお断りせざるを得ないことが結構あって、申し訳なく思っています」
大歓迎を受けた真逆のカフェ。しばらく、「カフェラルゴ」を楽しんでいただきたい。楽しんで、
「一度行ってみようかな」
とお考えいただければ筆者冥利に尽きる。もう子育てからは卒業した方でも、カフェラルゴに足を踏み入れればいつでも若いママたち、元気な子供たちの歓声に出会える場所である。気楽にドアを開いてみて欲しい。
1件のコメント