2018年12月現在で、カフェラルゴは誕生から3年半近くになった。定休日は木曜と第2日曜日だけ。そのほかの日は貴弦くんと2016年9月に生まれた乃悠(のはる)くんを保育所に預け、2人で必死に働いた結果だろう。
「必ず何とかなるさ」
という究極の楽天家である渉さんと綾子さん2人の確信を、2人が力を合わせて実現してきた。
だが、3年も過ぎると課題も見えてきた。
「狭いんですよね」
いま、客用のスペースは30㎡足らずしかない。厨房を切り詰め、ピアノ教室用のスペースも最低限にしたが、それでもこれだけしか確保できなかった。
これでは子ども連れのママさんが10組も入れば満席だ。営業日のほぼ6割が満席になるから、せっかく来てもらった客を
「申し訳ありません。満席ですので……」
と断らなければならないことがしょっちゅうある。
もともと客の回転率を全く考えない店である。ママたちは昼食の店として使うことがほとんどで、お昼前にやってきて午後2時、3時までいる。それは狙い通りなのだが、売り上げはその分だけとなり、利益は雀の涙ほどしか残らない。
それに、これだけのスペースに10人内外のママたちと10数人の子どもが入れば、子どもが伸び伸びと遊び回る場所がない。乳幼児なら寝かせておいたりだっこしていたりすればいいが、走り回ることが大好きな子供たちだってやってくる。一人が走り始めれば、つられて走る子供が増える。ママたちはついつい、
「危ないでしょ! 走るの止めなさい」
と小言をいってしまう。
「子どもにとって、友だちと遊べるのはいいのですが、狭いから自宅で遊ぶのと一緒になってしまいますよね」
だから、広い店が欲しい。いつでも入れるカフェ、子供たちが思い切り遊べるカフェにしたい。
「いまの3倍というと欲張りすぎかも知れませんが、せめて2倍ぐらいの広さに出来たらお客様をお断りすることもなくなるでしょうし、子どもの声がするから、と立ち寄って下さる普通のお客様だって期待できると思うんですよ」