【競争相手】
繊維業界は「パクリ」が横行する世界である。目覚ましい売れ行きを見せる品が店頭に並ぶと、2週間、1ヶ月後には似たような商品がほかの店頭に姿を見せる。パクったりパクられたりは業界の体質ともいえる。
坂井レースの遮熱カーテンにも1、2年すると追随者が当然の如く現れた。国内外の他社の糸を使い、
「うちの製品の方が安く出せる」
とカタログハウスに売り込みに来たメーカーもあったと聞いた。
しかし、坂井さんはこんな事態は織り込み済みだった。遮熱率64%のカーテンを納めながら、翌2012年にはやや厚めに編んだ遮熱率70%のカーテンを作り上げていたのである。他社は64%に近い性能までは出して価格の安さで追いすがろうとした。
だが、カタログハウスからの
「こんな話が来てるんだが」
という打診に
「分かりました。遮熱率70%のカーテンに切り替えましょう」
と即答できた坂井レースと勝負できるメーカーはいなかった。遮熱率70%を実現できるメーカーはいなかったのである。いま、性能は71%にまで高めた。ライバルの登場はまったく心配していない。
遮熱カーテンを売り出して10年。新規需要が一巡したのか、数年前から売り上げは下がり気味だったが、ここに来て買い替え需要が出始めたらしい。再び販売に勢いがつき始めている。
写真:坂井レースの遮熱カーテンと使われている糸
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