花を産む さかもと園芸の話 その8 ミセスクミコ

創り出した花を商品にするにはいくつかの準備がいる。
1つは市場関係者の反応を見ることである。創った自分は大変気に入っているが、市場は受け入れてくれるだろうか?
東京の花市場の職員や生産者仲間に見てもらった。

「これは……。見たこともないアジサイだ。しかも色がいい。花弁の切れ込みも面白い。何より花弁が見たこともないほど大きい。きっと全国で歓迎されるよ」

市場受けは良さそうだ。であれば、次は名前をつけよう。西洋では様々に交配されたアジサイはそれぞれの名前を持つ。名前があった方が親しみがわくだろうし、何より丹精込めて生み出した新しいアジサイなのだ。名前をつけてやりたい。

色は桜色である。であれば女性だろう。ミスか、ミセスか。桜色の花はミスと呼ぶには﨟長けている。やっぱりここはミセスだろう。

ではミセス○○として、○○には何が相応しい? 語呂も良くなくてはいけないし。
10個ほどの名前を考えた。残ったのが「クミコ」である。
まず、家族の名前を考えた。となれば真っ先に浮かぶのが「クミコ」である。愛妻の久美子さんと力を合わせて生み出した花なのだ。

「それに、当時は秋吉久美子さんの人気が絶大で、ええ、主人もファンでした。それで、やっぱり多くの人に親しまれている名前がいいだろう、と思いまして」

ミセスクミコ

名前も決まった。語呂もいい。さあ、出荷するか。
待ったをかけたのが群馬県農業技術センターである。

「坂本さん、アジサイは挿し木で増えるのだから、市場に出したら勝手に作る業者が出てくるかも知れない。これはパテントを取っておいた方がいいですよ」

2件のコメント

  1. 大阪に住んでいます。
    京都に行った時、北野白梅町のお花屋さんで初めて出会いました。もう10年前ぐらいです。バスに乗って、阪急、地下鉄、近鉄、バスに乗って帰りました。ずっと抱いていたので周りの方から可愛いねっていわれたことがなつかしいです。

  2. 数年前に相模原北公園で初対面.花の美しさもさることながら名前に一目惚れ.家内の名前は「久実子」.通販で購入し露地植え.環境がお気に召さなかったのか,今年1輪ですが大輪の花を咲かせてくれました.素晴らしい花です.ありがとうございました.

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