街の灯 「PLUS+ アンカー」の話  その3 介護施設

探した。しかし、なかなか見つからない。介護施設は、心身ともに健康なお年寄りの受け入れには後ろ向きなのだ。健康なお年寄りの方が受け入れやすいだろうと思うのだが違った。

それでも東京近郊にまで範囲を広げれば、ふみえさんのように元気なお年寄りを受け入れる高齢者マンションなどがたくさんある。ふみえさんにはピッタリなのだが、残念ながら桐生にはない。かといって東京に引っ越したら、親戚や友達となかなか会えなくなる。それもふみえさんの年齢では辛いだろう。

探しあぐねているうちに、ふと思いついた。不動産会社アンカーの本社が入っているマンションにたまたま空き部屋があったのだ。

「ここに入ってもらったらどうだろう?」

2人はそのマンションへの入居を勧めた。高齢者用に特化したマンションではないが、桐生市菱町に住んでいた雅子さんは、午前9時前には1階にあるアンカーの事務所に出る。

「このマンションならエレベーターもあるし、何かあったら私がすぐに行けます。ここで暮らしませんか?」

ふみえさんに話したらたいそう喜んでくれた。引っ越しはそれから間もなくの2011年暮れのことである。

こうして、ふみえさんと

「味噌汁の冷めない距離」

になった雅子さんは、ますますふみえさんの魅力を知ることになる。

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