アンカーのデザイナーズ・マンションの設計を頼んだ東京の建築家に相談し、店舗デザインを描いてもらった。マンションの仕上がりを見て、近代的なセンスの良さが気に入っていたからだ。やがて素敵なプランが出来上がった。本町通に面した壁を取り外してオープンカフェにする。これだと狭さもあまり気にならない。
「よし、ここでやろう!」
桐生は細い道が入り組み、公共交通機関は使いにくい。自分で車を運転しなければ移動が難しい町である。たくさんのお年寄りに来てもらうには駐車場が欠かせない。
「隣にあった土地もご縁があって取得させてもらいました。駐車場にちょうど良かったんです。花壇をつくって、それを照らし出す照明も設置したんですよ」
はじめは想定しなかった出費だったが雅子さんは突き進んだ。準備を着々と進め、建築家が描いた初期プランに手を加えて、
「そろそろ建築会社に改装工事を頼もうか」
という段階まで進んだ。
そのまま進んでいれば、「PLUS+ アンカー」は今とは違う場所で、とてもオシャレなオープンカフェとして産声を上げていたはずだ。しかし、人生は必ず思いがけない事が起きるから面白い。
そろそろ建築会社との契約をしようかというとき、思いがけない事が起きたのだ。雅子さんの目の前に、角田晃嗣さんの住宅が登場したのである。
写真:「PLUS+ アンカー」の野外イベント。ふみえさんも賑わいぶりを喜んでいるはずだ。