街の灯 「PLUS+ アンカー」の話 その17 まちの結節点に

「PLUS アンカー」に拠点を構える「KIRYU UNITED(キリュウ・ユナイテッド)」は官民の連携でまちおこしをしようという民間団体である。2018年10月に続き、2019年3月、桐生市の新川公園で「ベース・オン・ザ・グリーン@キリュウ」を開いて夜間の公園使用に道を開いた。公園に出店が並び、市民で賑わった。
2019年7月には、本町6丁目の歩道で金曜日夜のナイトマルシェを3週連続で開催した。県の道路占用許可基準が緩和され、歩道上で商品だけでなく食べ物や飲み物が簡単に売れるようになったのを早速試してみたのである。

動かないお金は景気を刺激することはない。お金が動かねば経済活動は始まらないのである。だから、イベントを開いて市民の財布のひもを緩めることが経済活動を促し、景気を刺激することは確かである。

しかし、お金が溢れていたかつての桐生ならいざ知らず、いまの桐生は勢いを失った地方都市に過ぎない。そんな町の中でお金を動かすことにどれだけの意味があるのか。町の外からお金を流れ込ませる仕組みを作り上げなければ桐生の再生はないのではないか。
そう考える筆者は、だからこの手のイベントにはあまり関心が持てなかった。

しかし、「KIRYU UNITED」は「PLUS アンカー」に活動拠点を持つ。川村徳佐代表は川口夫妻と緊密な連携をしながらイベントを主催している。そこで率直に聞いてみた。

——このイベントにたいした意味がくみ取れません。何を狙っているのですか?

筆者の思い及ばなかった答が戻ってきた。

「桐生市民のエネルギーを導き出すことです。まずはここに店を出してイベントを盛り上げていただきます。プロの方々にはそれぞれの商売で新しいファンを作ってもらえばよい。ただ、出店していただいているのはプロだけではありません。プロ並みの腕を持っているがまだ事業化していない方々もお誘いしています。この方々にはお客様の反応を見ながら起業の可能性を探って欲しい。自分の店を持ってもらいたいのです。シャッターが閉まったままの本町通りの商店で開業し、店を生き返らせていただきたいのです。多種多彩な店が揃えば魅力ある商店街になり、市内だけでなく市外からもお客様は来てくださるはずです」

「PLUS アンカー」が定期的に開くマルシェの出店者はプロ、セミプロが混在して賑わいを醸し出している。川村さんは

「こんな店が日常的にあったら町に活気が戻るのでは」

とヒントを得たのだという。目が醒める思いがした。本当の狙いはしばらく先にあったのか。
いま川村さんを中心に若手が集い始めている。彼らは「PLUS アンカー」とがっちりスクラムを組み、まちづくりに取り組み始めている。

写真:本町6丁目の歩道でのナイトマルシェには川口貴志さん(中央)ももちろん参加した。

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