2019年6月3日、「PLUS+ アンカー」に本社を置く「UNIT KIRYU」が産声を上げた。資本金はわずか40万円。いまのところ社長と会長しかいないちっぽけな企業である。
だが、外見だけで判断してはならないのは、人も企業も同じだ。この会社は、「PLUS+ アンカー」を通じて得てきたものを形にし、桐生のまちづくりを推し進めたいという川口貴志さんの「野望」が込められた会社なのだ。
ひょっとしたら、明日の桐生の基盤造りを担う可能性を孕んだ会社なのである。
きっかけは、地元金融機関から声をかけられたことだった。
一般財団法人民間都市開発推進機構(MINTO機構)は「民間都市開発の推進に関する特別措置法」に基づいて1987年に設立された機関である。国土交通省の別働隊といってもいい。民間の都市開発を支援するのが主な事業だ。
そのMINTO機構の事業の1つに、「まちづくりファンド支援業務」がある。地域金融機関とMINTO機構が連携して基金を造り、資金面でまちづくりを後押しする。この制度に、衰退する桐生に何とかてこ入れしたいと願う地元金融機関が応募し、両者が半額ずつ出資して6000万円のファンドを造ることになった。
しかし、金融機関にまちづくりのノウハウはない。全国を対象に事業を進めるMINTO機構にも、それぞれ違った歴史、文化、産業、地理などを抱える地方都市すべてに通用するまちおこし策を期待するのは無理である。
桐生のまちおこし事業の担い手が要る。