街の灯 「PLUS+ アンカー」の話 その18 UNIT KIRYU

「だから、川口さん、協力していただけませんか。あなたが必要なのです」

願ってもない、とはこのようなことをいうのだろう。「PLUS アンカー」で様々な人と出会い、ネットワークを築いてきた川口さんは、桐生にはまちを再生するエネルギーが溢れていることをひしひしと感じていた。加えて、「殿様気質」は川口さんの持ち味である。自分のふるさとが衰退の道を辿るのを放っておく殿様はいない。自ら興した不動産事業を軌道に乗せながら、し残したことが何かあるという欠落感を持ち続けていた川口さんは、いつしか残る人生を桐生のまちおこしに賭けようと思い定めて準備を進めていた。

「金融機関とMINTO機構が支援してくれるのなら、これほどありがたいことはない」

地元金融機関とMINTO機構がファンドを造ることを発表したのと同じ日に「UNIT KIRYU」をひっそりと立ち上げたのはそんな経緯からだった。「UNIT KIRYU」がまちづくりファンドから融資を受け、事業を進める。全国に11のまちづくりファンドが出来たが、地元にのまちづくり会社が融資の対象になるのは「UNIT KIRYU」が初のケースである。成功すれば他の都市にも応用できるモデルになる。国土交通省が寄せる視線は熱い。

自分は会長に就任し、社長は「KIRYU UNITED」の川村徳佐さんに頼んだ。まちづくりは人づくりでもある。これまで培ってきたことはすべて川村さんたちに公開する。だから一緒に桐生の未来を作ろう。君たち若手が桐生の未来を担ってくれ。
UNIT KIRYUの人事からは、川口さんが発したたくさんのメッセージが読み取れるように筆者は思った。

写真:2019年9月9日、桐生まちづくりファンドの第1号案件を発表する川口貴志さん(左端)。

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