血のつながりを問わず、事業を事業として後世まで引き継いでいく仕組みを作る。町に根を張った企業が生き延び、すでに空き家になったところには起業家を誘い入れる。それがまちおこしではないか? そうすれば、まちに賑わいが戻るのではないか? 賑わいが戻れば、様々な生き方を受け入れらるまちになるはずだ。
他の地方都市も多かれ少なかれ同じ問題を抱えているはずだ。だから、桐生でモデルを造れば全国の地方都市を救うことにもなるはずだ。
約3ヶ月後の9月9日、川口、川村の両氏は桐生市役所で記者会見を開いた。最初の事業の発表である。そして、「UNIT KIRYU」のお披露目でもあった。
桐生市本町6丁目の空き店舗のシャッターを開けた。酒屋さんだった建物を、「UNIT KIRYU」が300万円の社債をファンドにを引き受けてもらい、自己資金の150万円とあわせて改装した。千葉から革職人の平山篤さんが引っ越してきた。1階は「hirari 」という工房兼店舗、2階が住居だ。空き家に起業家を導き入れたのである。
やっと1件まとめ上げただけである。これだけではとても「まちづくり」とは呼べないことは自分が一番よく分かっている。
後継者がいない多くの中小企業の事業継承をどうするか?
通りのシャッターを1つでも多くあける方策は?
空き地、空き家を有効に使うには?
統廃合で使われなくなった学校の有効活用策は?
…………。
まだすべてに回答を持っているわけではない。だから模索を続ける。
「でもね、『PLUS+ アンカー』で出会った人たちから、多くの仲間が生まれつつあります。『UNIT KIRYU』を手伝いたいという人も増えてきた。私は諦めません。桐生は私の大事なふるさとなのです」
写真:平山さんご夫妻が経営する「hirari」は2019年12月21日に開店した。