花を産む さかもと園芸の話 その14 世代交代
得意な英語で花作りの基礎を学び、さかもと園芸で義父の仕事を手伝う、はずだった。 「でも、英国での勉強、ちっとも役に立たなかったね。英国はガーデニングの国。授業でやったのは花の名前と、あとは庭造りの基本ぐらい。コンピュータ...
得意な英語で花作りの基礎を学び、さかもと園芸で義父の仕事を手伝う、はずだった。 「でも、英国での勉強、ちっとも役に立たなかったね。英国はガーデニングの国。授業でやったのは花の名前と、あとは庭造りの基本ぐらい。コンピュータ...
振り返ってみれば、正次さんと久美子さんもゼロからの出発だった。2人になかったのは生産設備である。土地もなく、ビニールハウスも給水施設も何もないところから2人は歩みを始めた。だが、園芸の知識は大学の4年間、谷澤農園での3年...
1年目。理解できた限りで正次さんの仕事を忠実になぞった。だが、作業を始めて見ると、分からないことが次から次に出てきた。加えて、仕事の段取りにも戸惑った。目が回るほどに忙しいのに、仕事が追いつかない。 「だから、冬用に準備...
「やっぱり自分の花が作りたい」 チャイさんがそう思いだしたのは、経営を受け継いで4年目のことである。まだ生産は安定しなかった。しかし、それまでの3年間、生産を安定させるために工夫を繰り返し、どこを改良しなければならないか...
正次さんは花を育てることに総てを賭けた。ビニールハウスの設備には身の丈を超えた力を注いだ。同業者に先駆けて導入しただけではない。これ以上ないほど細かく制御できるようにし、 「これ、園芸試験場並みの設備ですね」 と皆が驚く...