花を産む さかもと園芸の話 その1 黒保根
2005年に合併して桐生市に編入した黒保根町(旧勢多郡黒保根村)は赤城山の東斜面に位置する。約89%が森林で、残りのわずかな平坦地で営まれる農業や畜産が主産業の静かな山村である。 その黒保根の一角、江戸時代には足尾銅山か...
2005年に合併して桐生市に編入した黒保根町(旧勢多郡黒保根村)は赤城山の東斜面に位置する。約89%が森林で、残りのわずかな平坦地で営まれる農業や畜産が主産業の静かな山村である。 その黒保根の一角、江戸時代には足尾銅山か...
坂本正次さんは埼玉県東松山市で、農家の7人兄弟の末っ子、3男坊として生まれた。子どもの頃は農作業を手伝ったが、中学に進むころ、父から農業を受け継いでいた12歳上の兄が農業に見切りをつけてガソリンスタンドに転業した。正次さ...
サボテンは諦めたものの、草花で生活を築きたいという思いは消えなかった。いや、サボテンへの思いを断ち切らねばならなかった分だけ思いは強まったともいえる。 だが、 「だから、実家の空いた土地を転用して農園を始めました」 と短...
それまでも2人は時間を無駄にはしなかった。2人で土地を探して北関東を歩き回った。2人の暮らしを始めるだけならどこでも良かったろう。だが、自分の手で花を作るのは正次さんが生涯をかけた夢である。久美子さんはそんな正次さんに惹...
少なくとも5年は農業を続ける。黒保根の農業委員会で誓ったことは、決して口から出任せではなかった。正次さんははじめから5年を1つのめどと考えていたのである。とにかく、5年間は無我夢中でやってみる。しかし、5年たっても芽が出...