花を産む さかもと園芸の話 その11 シクラメン
アジサイとともに正次さんが経営の主軸に据えたのが冬の花の王ともいわれるシクラメンだった。修行したのがシクラメンを育てている谷澤農園だったから、自然な選択でもあった。それに、シクラメンは、クリスマス向けの出荷が中心である。...
アジサイとともに正次さんが経営の主軸に据えたのが冬の花の王ともいわれるシクラメンだった。修行したのがシクラメンを育てている谷澤農園だったから、自然な選択でもあった。それに、シクラメンは、クリスマス向けの出荷が中心である。...
シクラメンを育てるにあたり、正次さんがこだわったことがある。開花促進剤を絶対に使わないことである。 開花促進剤とは一種のホルモン剤で、これを散布すると狙った時期に花を咲きそろわせることができる。園芸農家としては、何より出...
最初の清子さんこそ生後間もなく亡くしたが、正次さんと久美子さんはそのあと3人の子宝に恵まれた。花作りは正次さんが生涯をかけて取り組んだ事業である。心の内では、3人のうちの誰かに引き継いで貰いたいと願っていたかも知れない。...
得意な英語で花作りの基礎を学び、さかもと園芸で義父の仕事を手伝う、はずだった。 「でも、英国での勉強、ちっとも役に立たなかったね。英国はガーデニングの国。授業でやったのは花の名前と、あとは庭造りの基本ぐらい。コンピュータ...
振り返ってみれば、正次さんと久美子さんもゼロからの出発だった。2人になかったのは生産設備である。土地もなく、ビニールハウスも給水施設も何もないところから2人は歩みを始めた。だが、園芸の知識は大学の4年間、谷澤農園での3年...