その6 スタートダッシュ
開口一番の挨拶である。多くの美術館に電話営業をするうちに、これは敏夫専務の定例フレーズになっていく。まず松井ニット技研を知ってもらわなければならない。それにはA近代美術館での実績を挙げるのが一番手っ取り早い。何しろ、松井...
開口一番の挨拶である。多くの美術館に電話営業をするうちに、これは敏夫専務の定例フレーズになっていく。まず松井ニット技研を知ってもらわなければならない。それにはA近代美術館での実績を挙げるのが一番手っ取り早い。何しろ、松井...
電話営業はのっけから大成功だった。いくつもの美術館が、是非資料を見せてくれ、という。 だが、これまでOEM(相手先ブランドでの生産)メーカーでしかなかった松井ニット技研に、販売店や消費者に見てもらえる商品パンフレットなど...
開拓営業には、金と時間と人手がかかる。最先端の技術が生み出した画期的な、競争相手がいない新製品でも、それなりのものを投入して手間暇をかけなければ市場はなかなか門戸を開いてくれない。それがいまの常識だろう。 一方、松井ニッ...
いまでは松井ニット技研のマフラーやショールのブランドとして定着している「KNITTING INN」は、智司社長、敏夫専務の2人が国内美術館総当たりの開拓営業を思いついた時、 「そうであれば、ブランドが必要だ」 と急遽立ち...
桐生市在住の世界的テキスタイルデザイナーで、英国王室芸術協会名誉会員、英国王立芸術大学院名誉博士でもあった故・新井淳一氏は生前、松井ニット技研の色の使い方を称して 「松井さんは日本のミッソーニですよ」 と筆者に語った。し...