カテゴリー: 松井ニット物語

話を元に戻そう。 パリを出た智司社長とデザイナーはコルシカ島に向かった。そこからニース、マルセイユと足を伸ばし、イタリアに入ってピサ、フィレンツェ、ローマ、ミラノと歩いた。デザイナーはミラノで 「私、これからちょっと用事...

日本のデザイナーたちからの仕事受けるようになって、松井ニット技研もオシャレっぽいマフラーの製造を始めてはいた。だが、マフラーは先に染めた糸を使って編む。編んだあとで染めるのならたくさんの色が使えるが、先染めでたくさんの色...

桐生は衰退する繊維産業の町である。いま初めて桐生を訪れる人がいても、この町がかつて織物で全盛を誇った町と気がつく人は少ないかも知れない。 それは桐生人が一番痛切に分かっている。だから、織物の町、織都桐生を再興しようという...

松井ニット技研が生み出したマフラーが、突然「世界一」に選ばれたのは、2013年夏のことだった。コンテストがあって応募したのではない。宇宙飛行士、毛利衛さんが館長を務める日本科学未来館が勝手に選んだのである。 この年の4月...

これだと思うものが編み上がると、次は染色である。 敏夫専務は商社時代、化学の知識も身につけていた。仕事に必要になったため、メーカーの研究所を尋ねて教えを請うたのだ。だから思いついた。 「特殊な帯電防止剤と柔軟剤を私は知っ...