趣味? からくり人形師佐藤貞巳さん 第1回 織都・桐生
桐生に「白瀧姫」伝説がある。 山田郡仁田山郷(いまの桐生市川内町)から朝廷に仕えた若者、久助がいた。掃除係として仕えているうちに宮中の白瀧姫に思いを寄せるようになり、燃える思いを託した和歌を詠んだ。久助の熱いまなざしは白...
桐生に「白瀧姫」伝説がある。 山田郡仁田山郷(いまの桐生市川内町)から朝廷に仕えた若者、久助がいた。掃除係として仕えているうちに宮中の白瀧姫に思いを寄せるようになり、燃える思いを託した和歌を詠んだ。久助の熱いまなざしは白...
いまの織物はほとんどが自動化された織機で織り上げられている。コンピューターで制御された自動織機はデータさえ入れてやれば、あとはほとんど人手がかからない。よほど特殊な目的でもない限り、人が織機の前に座って1本1本緯糸(よこ...
白瀧姫が機を織るように見せるにはできれば杼を飛ばし、筬で緯糸を詰めるために手を動かさなければならない。杼を飛ばすなんてできそうにないが、それでも機織りをしているように見せるには右から左、左から右と飛んでいるはずの杼を目で...
白瀧姫は完成した。次は織機である。 織都桐生には人が動かしたひと昔前の織機がたくさん残っている。佐藤さんは市内を歩き回り、出来るだけ古い織機を探した。古い方が仕組みが簡単で、作りやすいからだ。 目当ての織機を見つけた佐藤...
そのころ、テレビの取材が入った。作りかけの白瀧姫を見た取材クルーは 「これ、凄いですねえ!」 と驚いた。白瀧姫が本当に機を織っているように見えるという。人は褒め言葉に弱い。中でも佐藤さんは褒められると舞い上がる。気をよく...