カフェラルゴ 第1回 真逆のカフェ
いつまでも人に使われるなんてまっぴらだ。サラリーマン、宮仕えは願い下げにする。必ず起業する。独立して経営者になるぞ……。 雇用の形が大きく変わり始め、正社員という安定した地位に就くのが狭き門になった時代に私たちはいる。い...
いつまでも人に使われるなんてまっぴらだ。サラリーマン、宮仕えは願い下げにする。必ず起業する。独立して経営者になるぞ……。 雇用の形が大きく変わり始め、正社員という安定した地位に就くのが狭き門になった時代に私たちはいる。い...
桐生第一高校調理科を卒業した渉さんは中学時代から仲間とバンドを組むギター少年だった。高校時代にはJR 桐生駅前で友人と2人、アコースティックギターをひっさげて路上ライブを始め、卒業後は音楽活動にのめり込んだ。CDも出し、...
頭から否定しながら、でも渉さんの提案は、綾子さんの脳裏にこびりついていた。 安定した暮らしを優先してとんでもないと言い切った。でも考えてみれば、そんなカフェがあって、同じような悩みを抱えるたくさんのママ、ママ予備軍と情報...
「ところで」 と私は話を切り出した。 「2人で起業を決めたとき、開業資金はいくらぐらい貯めてあったの?」 渉さんは妙にきっぱり言った。 「ゼロ、です。全くありませんでした」 えっ、これから起業しようというのに、全く資金を...
2人は根っからの楽観主義者である。どうなるか分からない先のことでくよくよ考えたりしない。願えば必ず実現すると信じるたちである。もっとも、口の悪い人なら、無計画な世間知らず、と切って捨てるかも知れないが。 銀行に断わられ、...