HARLEY-DAVIDSONに乗ってきた客に、「FREE RIDE」で会った。桐生の隣町、みどり市笠懸町にお住まいの方だ。バイク歴10数年。
桐生市は生活圏の一部である。だから、バイクを持つ前にも「FREE RIDE」の前を通りかかったことは何度もあった。その頃は
「なんか、おっかない店だ。俺には関係ない」
と思っていた。だが、憧れのHARLEY-DAVIDSONを手に入れた。HARLEYのオーナー同士にはなぜか親近感が産まれ、自然に仲間として付き合い出すことが多い。「FREE RIDE」を教えてくれたのはそんな仲間の1人だ。それ以来根強いファンになった。
「ええ、ジャケットもインナーもパンツも、6、7着ずつ持ってます。まだ捨てたものはないな。ほらこのパンツいいでしょ? 後ろのポケットが深くて長財布が入るし、財布につけたチェーンを繋ぐDカンもある。あー、このブーツもここで買いました」
同じパンツを20本まとめて注文する客がいたことは前に書いた。二渡さんがデザインしたウエアには
「同じものを使い続けたい」
と思わせる力がある。
だから、なのだろう。「FREE RIDE」には
「これ、修理できませんか?」
という客が、毎年30人から50人は訪れる。
ジッパーが壊れた、というのは普通にありうることだ。その程度なら、直して着続けたいと思う人も多いはずだ。
ところが、
「RIDERS N-3Bのリブ(袖の中にある)を引っかけちゃって穴が空いたんだけど、何とかなります?」
「RIDERS N-3Bの首元のムートンがすっかり汚れてしまって。毛も痩せてきたんで交換できませんか?」
となると、普通の洋品店では珍しい。
「バイクで転けちゃって、N-3Bとパンツが破れちゃった。どちらも10年以上着てるんで愛着があるんですよ。修理できませんか?」
そんな客は、他の店にはいないだろう。