6マイル地点:311.758km/h
7マイル地点:312.552km/h
そして、
8マイル地点:324.847km/h
場内放送が流れる。
“Ladies and gentlemen, a new record, 201.851 miles for an hour.”
(皆さん、新記録です。時速201.851マイルを記録しました)
映画はさまざまな脚色が加えられ、事実に正確ではない。記録によるとバートさんが世界記録を出したのは1967年。950ccにボアアップしたエンジンを載せたインディアン・スカウトは時速305.89kmを出した。この時、68歳。いずれにしても、なんとも驚き入った爺様ではある。
このバート・マンローさんと、二渡一弘さん、どこか似ていないか?
二渡さんも若い頃、時速300㎞を目指した。しかし、超えたと思ったら、
「300㎞/hの先には何にもないや」
と熱が冷めた。だから、単なるバイクつながりではない。
似ているのは、こういうことではないか。
バートさんは、世界の片田舎ともいえるニュージーランドの、そのまた田舎、インバカーギルで世界の頂点を夢見た。
二渡さんは、「日本のチベット」と表現する人もいる桐生で、自分でデザインしたバイクウエアを売る「FREE RIDE」を開いた。
夢を追い続けた田舎者が、頂点に立った。富を追い求めるのではなく、ひたすら夢に挑み続けて実現する。それが2人に通じるものではないか。バイクは頂点に導いてくれた道具に過ぎない。
「忘れるな。夢を追わない人間は野菜と同じだ」
とは、映画に出てくるバートさんの言葉だ。
バートさんも二渡さんも忘れなかった。野菜と同じになるのを拒み続けた。私はFreeだ。できないことなんかない! それが、2人にとっては最も自然な生き方だったのである。
「FREE RIDE」のオリジナルウエアは、二渡さんのそんな生き方を形にしたものである。多くのバイクライダーが惹きつけられるのは、ウエアに二渡さんの何かを感じ取っているからではないのか。自由、FREEDOMを。
写真:二渡さんはモデルにもなるのです。
19回の連載お疲れ様です!今回初めてコメントしました?とても素晴らしい文章力はさすがです!
二渡さんの人間性に惚れ込んで、そんな人の作る服に惚れ込み、そんな服を着てバイクに乗り続けることができる喜び!
19回では語りきれないほどの経験談もお持ちだと思うので、機械があれば続編をお願いいたします!・・・お疲れ様でした!